
2023年7月某日、新橋演舞場にて「新作歌舞伎・刀剣乱舞『月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは) 』」を観劇してきました。

刀剣乱舞はゲーム中心に楽しんでおり、時々アニメを観るレベルといった、いわゆる二次元コンテンツとして楽しんでいまして、舞台・ミュージカルなどの2.5次元作品に触れたことはありませんでした。
さらに歌舞伎にもなんとなく感じる敷居の高さから、興味は持ちつつもなかなか観る機会がないといった状態でして。
しかし、刀剣乱舞と歌舞伎という好きなものと興味のあるものの組み合わせがとても気になったので、観劇を決行することにしました。
今回は、刀剣乱舞歌舞伎の感想を、思い浮かんだ範囲で語ってみたいと思います。
勢いだけで書きましたのでいつも以上にまとまりのない文章になるとは思いますが、お付き合いいただけたら幸いです!
とうらぶ歌舞伎を観ての感想
ざっくりしたあらすじ(説明下手くそです)
細かいところから大事なところまで色々抜け落ちていると思いますが、とうらぶ歌舞伎のざっくりとしたあらすじを。
三日月宗近・小狐丸・小烏丸・同田貫正国・髭切・膝丸の6振りの刀剣男士が、審神者(声だけの出演・声は中村獅童さん)の命により、室町時代へ。
向かった先は後に足利13代将軍・足利義輝となる足利菊幢丸の居場所 。
時間遡行軍に狙われていた菊幢丸を、三日月宗近たちが助けます。
その後、菊幢丸は元服し松永弾正の助力を得て13代将軍・足利義輝となりますが、魔物に取り憑かれてしまいます。
冷静な判断ができなくなってしまった義輝と接し、屈辱を受けたことで事態を危惧した松永弾正の息子・松永久直は、足利義輝を討つべしと父・松永弾正に訴えます。
一方、歴史改変を目論む時間遡行軍は足利義輝を生き長らえさせようとしますが、三日月宗近たち刀剣男士は時間遡行軍の殲滅、そして足利義輝が討たれる史実通りの歴史を迎えるために戦います。
しかし、足利義輝の愛刀は三日月宗近。
刀剣男士としての三日月宗近は、自らが義輝の側にいた刀であることを胸に秘め、主人が討たれる宿命にあることを受け入れようとしながらも、複雑な心境を隠しきれないまま自分の任務を果たすことに専念します。
そして弾正の攻勢で劣勢となっていき、次第に追い詰められていく足利義輝。
最後に刃を向けるのは、愛刀であった三日月宗近……
と、いう流れのお話でした。
大まかな流れを抜粋してみたつもりですが、なんのこっちゃ?状態だったらごめんなさい汗
次の項目からはとうらぶ歌舞伎観劇で思ったことを語っていきますね。
歌舞伎初心者でも全然問題なかった
初めて歌舞伎を観るにあたり、一番心配だったのが「話の流れが全然わからなかったらどうしよう」ということ。
ふわっとした歌舞伎のイメージだと、話の流れを理解しながら観ることが難しそうな印象があったからです。
さらに歌舞伎特有のかけ声(「〇〇屋!」的なもの)もどうしたらいいか全くわからないですし、楽しみな気持ちと同じくらい不安もありました。
しかし、いざ公演が始まると不安はあっさり軽減。
本筋が始まる前に、簡単な歌舞伎の流れの解説のようなものがあったためです。
かけ声は無理に入れなくて大丈夫なこと、そして普段の歌舞伎では存在しないカーテンコールが「もしかしたら」あるかもしれないので、かけ声は是非その時にかけて下さいね…という説明があったので、肩の力を抜いた状態で公演を楽しむことができました。
お芝居を観ながら場面解説の音声が流れるイヤホンガイドの貸し出しもありましたが、イヤホンガイド無しでも話の流れをおおむね把握できたので、難しく考えることなく歌舞伎の世界に入れたのではないかと。
馴染みのある刀剣乱舞の世界というとっつきやすさも加わり、歌舞伎の雰囲気を身近に感じることができたのは大きな収穫でしたね。
刀剣男士がみんな素敵
とうらぶ歌舞伎に登場する刀剣男士は、三日月宗近・小狐丸・小烏丸・同田貫正国・髭切・膝丸の6振りでしたが、それぞれが魅力的でとっても素敵!でした。
どちらかといえば、普段は遠くから物事を傍観している印象の強い三日月宗近が、過去の主への思いを断ち切れず感情的になり思い悩む姿はすごくよろしかった(語彙力不足)です。
そして悩める三日月宗近をそっと見守る小烏丸は美しかったですし、荒ぶってる感がイメージ完全一致の同田貫正国は魅力再発見できたように思いますし、髭切・膝丸兄弟は可愛らしい印象でしたが期待通りのコンビネーションぶりで最高でした(語彙力不足・2回目)。
個人的に好感度が急上昇したのは小狐丸。
中の人(尾上右近さん)が二役かつもう一役が重要すぎる役どころ(足利義輝)のため、小狐丸としては出番が少なめだったのですが、小狐丸も要所要所で活躍するのでめっちゃかっこいい刀だな…と思いながら観ていました。
演じている尾上右近さんと小狐丸ともども、とっても素晴らしかった…!
なお、中盤(休憩前の場面)では、役者さんが二役を演じられている刀剣男士(小狐丸・髭切・同田貫正国)の出番の少なさをいじったり、逆にキャスティング側をいじり返す場面があって、めちゃくちゃ笑いましたね。
刀剣男士以外の出演者もみんな素敵
刀剣男士以外の役も、ほんと良かったという雑な感想しか出てこないのですが、ほんと素晴らしいの一言でした。
小狐丸役と兼任で、三日月さんと同じくらい舞台にずっと立っていた気がする尾上右近さん扮する足利義輝は、頼もしい雰囲気が魔物に取り憑かれて徐々に壊れていく様が切なかったですね。
その他変身(という表現でいいかは不明ですが)前と後でガラリと雰囲気が変わる異界の翁・嫗のお二人、可愛らしいと思って眺めていたら幕間で髭切と二役だったことを知りひっくり返りそうになった紅梅姫(義輝の妹)、そして花道に立っているだけでもこの人絶対に強い!と思わせるような貫禄がすごすぎる松永弾正さま、義輝からの屈辱を受け命がけで弾正に義輝討ちを訴える弾正の息子・松永久直(同田貫正国と二役)…等々、脇を締める方々も素晴らしいの一言でした。
今回出演されている方で私が知っていたのは三日月宗近役の尾上松也さんと先述の尾上右近さんお二方のみだったのですが、素敵な歌舞伎役者の方が沢山いらっしゃることがわかり、歌舞伎には多くの方が関わっているのだと勉強になりました。
それ以外でも、時間遡行軍などによるアクションシーンは迫力満点で、思わず「うわぁ〜」と声を出してしまいました。笑
私が観劇していた2階席に、時間遡行軍が現れる…という演出があったのですが、薙刀(なぎなた)の刃を向けられるという貴重な体験をすることができて、ドキッとはしたけれど舞台と同じ空間にいるのだと嬉しかったです。
楽器の演奏もステージ上で行われることがありましたし、幕前で琵琶?の弾き語りがある場面は、2階席右側からは直接見えなかったものの(席の右上にモニターがあるので観ることはできた)、思わず引き込まれてしまう演奏&歌唱でした。
刀剣男士をめぐるストーリーを楽しむだけではなく、さまざまな要素を楽しむことができて良かったです。
女形がいる歌舞伎だからこそできる場面がとても良かった
個人的にとっても良かったと思ってる場面についても語らせて下さい!
足利義輝の妹・紅梅姫が三日月宗近に想いを寄せつつ、歌を詠み舞を披露するシーンがあったのですが、個人的にすごく好きなところでした。
結果的に三日月宗近が自分を恋愛対象にしてはいけない…と断るので、紅梅姫の片思いで終わってしまうのですが、なんといっても美男子揃いの刀剣男士ですから、確かに訪れた先で思わぬ相手に想いを寄せられる可能性はあるかも…と、一場面の出来事ながら考えさせられました。
紅梅姫の舞がとっても素敵(中の人は髭切役の中村莟玉さん)で、女形ってすごいな…と心の底から思いましたね。
刀剣男士に心奪われる女性…という設定は、2次元でも2.5次元でも取り入れることはとても難しい内容だと思うので、歌舞伎だからこそ出来た場面ではないでしょうか。
見る人を選ぶ場面ではあるかもしれませんが、私個人としてはすごく好きな場面でした。
カーテンコールがあって最高
終幕後に、本来歌舞伎では存在しない(当然といえば当然)カーテンコールがありました。
主要キャストだけでなく、アクション部隊の皆様や楽器を演奏された皆様も登場し、会場全体が温かい雰囲気で、この空気の中にいられて良かったと思いましたね。
さらに、カーテンコールの幕が下りたと思ったら再度幕が上がり、ファンサービスタイム?(声かけタイム)が始まりました。
上演中の撮影は禁止ですが、このタイミングでは撮影OKなだけでなく、SNSに拡散してね!とのボードも掲示されていたので、観客が一斉に撮影を始めるという予想しなかった出来事が発生しました笑
公演中は基本重めの空気だったのが一変、出演者の皆様も観客や出演者同士のコミュニケーションを楽しむ明るい雰囲気に変わり、観客も声がけOKとのことで「〇〇屋!」とか好きな刀剣男士の名前を叫んでいる人があちらこちらで見られました。
2階席だったこともあり、写真としては引き気味のものしか撮影出来なかったのですが、この時ばかりは1階席を取らなかったことを心底後悔していましたね。
正直なところ、静かに観劇するものだと信じて疑わなかった歌舞伎の舞台ではしゃぐことになるとは…予想外すぎました!笑
刀剣乱舞も歌舞伎も楽しみたい

ここまで、刀剣乱舞歌舞伎の感想について思ったことを書いてみました。
さくっととうらぶ歌舞伎を観て思ったことを書けたらいいかな位の気分で書き始めたこの記事ですが、収拾がつかなくなった結果なかなかの長文記事になってしまいましたね笑
刀剣乱舞の舞台自体が初観劇で、さらに歌舞伎も初観劇でしたので、勢いでチケットを取ったものの楽しめるのだろうか…と不安に思っていましたが、私のような歌舞伎慣れしてない人間でも楽しめる仕組みになっていて、純粋に楽しむことができて本当に良かったなと。
素敵な場面やカーテンコールでひたすら拍手していたので、終演後に手と腕が痛くて、我ながらビックリしました。
三日月宗近を演じられた尾上松也さんが、演出も担当(尾上菊之丞さんと共同演出)されていたのですが、筋書(パンフレット)に刀剣乱舞の歌舞伎化にかけての熱い思いが綴られていて、松也さんへの印象がかなり変わりましたし、素敵な舞台を作って下さってひたすら感謝という気持ちしかありません。
刀剣乱舞にはさまざまな時代のさまざまな刀剣男士がいますし、色々な時代で時間遡行軍と戦うこともできる世界線ですので、願わくばまた刀剣乱舞の世界で歌舞伎を楽しむことができればいいなと思っています。
そして、今回の観劇で歌舞伎そのものにも興味を強く持つようになったので、ゆくゆくは古典などの歌舞伎の観劇にも挑戦してみたいですね。
新橋演舞場に向かう際に前を通った歌舞伎座にも行ってみたいですし、今回出演されていた方の舞台をチェックするのも面白そうかも…と、どんどんやってみたいことが増えてるかもしれません笑
刀剣乱舞においても好きな刀剣男士が増殖した(単純)ので、マイペースに遊びつつ育成していきたいと思っています。
7月28~31日までですが、DMM TVで千秋楽公演の見逃し配信が視聴可能なので、今度はどアップバージョンのとうらぶ歌舞伎を満喫してみるつもりです!

それでは、今回はこのへんで。
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