NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。
今回は、2代目ヒロインである「るい編」の感想を書いていこうと思います。
初代ヒロインの安子編からるい編は安子がいなくなってしまったこともあり、はっきり区切られていた印象があるのですが、るいは三代目ヒロインとなる娘・ひなた誕生後も登場しています。
「るい編」の区切りをどこでつけるか迷ったのですが、この記事では「ひなたの誕生まで」の内容をるい編として感想を書くことにしました。
よろしければ、お付き合いくださいね。
※初代ヒロイン・安子編感想はこちら↓
カムカムエヴリバディ・るい編の感想
10代後半を演じる深津絵里が、予想以上に良かった
るい編が始まってまず驚いたのが、るいを演じる深津絵里さんが、るいの10代後半から演じていらっしゃるということ。
るい編が10代からスタートするということは知っていたのですが、ワンポイントとしてではなくじっくり10代のるいが描かれると思っていなかったので、正直予想外でした。
ただ、10代後半を演じる深津さんが、思っていたよりも違和感がなく10代の少女に見えていたと思います。
オダギリジョーさん演じる大月錠一郎とのやり取りも、若い二人のやり取りに普通に感じられていました。
最初はどうなるかと心配していたのは否めなかったのですが、結果的に若い時から同じ方が演じてくださって感情移入しやすかったので、良かったですね。
るいと錠一郎、二人の岡山の縁
るいにとって大切な存在となっていく、トランペッターの錠一郎。
大阪で出会った二人ですが「二人とも岡山に縁がある」という共通点がありました。
るいの母・安子が、岡山で稔(るいの父)と交流を深めていた喫茶店のマスターが、戦災孤児だった錠一郎にとってトランペットのきっかけを作り、名付け親ともなった存在だったのです。
安子編で、トランペットに強い興味を持つ戦災孤児の男の子が登場していたのですが、その男の子こそが錠一郎。
安子、稔にとっては「るい」の名前の由来となるルイ・アームストロングの曲を知るきっかけとなった場所深かった場所が、錠一郎にとってもトランペットに憧れを持つ大切な場所だったのです。
一方、安子に捨てられたと思っているるいは、安子と離れてからは喫茶店に立ち寄ったことは無い様子でしたが、幼少期に喫茶店に行ったことを覚えていました。
母親のことをよく思っていないるいですが、数少ない母親の記憶の1つとして、喫茶店で過ごした時間のことは胸の奥底に残っていたのです。
るい、錠一郎の二人が、子供の頃に岡山で直接やり取りをした描写はなかったと記憶していますが、るい・錠一郎・そして視聴者それぞれが印象に残っている場所を共有できたような、面白さを感じましたね。
クリーニング屋の夫婦がシンプルにええ人
岡山の家を出て大阪に来たるいは頼れる人がいない状態でしたが、「竹村クリーニング店」の主人である竹村平助と偶然知り合ったことをきっかけとして、竹村クリーニング店で住み込みで働き始めるようになります。
竹村クリーニングは、平助と奥さんの和子の夫婦二人でやりくりしていますが、この夫婦が普通にええ人なんです。
いい人というより、やっぱり「ええ人」という表現がぴったり来る気がするんですよね。
子供に恵まれなかった夫婦は、るいを娘のように可愛がり、父(稔)を知らず母(安子)とも幼い頃に生き別れたるいにとっても、竹村夫婦が両親のような存在になっていきました。
竹村夫婦の夫婦漫才のような明るく面白い日常の会話は、1人でふさぎ込みがちだったるいに良い影響を与えていったように思います。
そして、るいが嫌がりそうなことにを察すると、影で心配はしつつも踏み込まない、ちょうどいい距離感を保っているのが素敵だと感じました。
ノリが良すぎるタイプって、ついつい余計なことを口に出してしまいがちだったりするのですが、ノリの良さと相手のことをしっかり考えることのバランス感覚が、竹村夫婦は絶妙なんですよね。
夫婦二人のシーンは少ししんどい場面もあったるい編においての癒やし的存在で、いつも観ていてほっとしていました。
消さなかった額の傷はコンプレックスに…
稔を亡くした安子が、大阪でるいと二人で頑張ろうとしたにも関わらず、岡山に戻ることになった原因が、移動中の転倒事故で残ってしまった「るいの額にできた傷」の存在でした。
稔の実家である雉間繊維の財力がなければ傷を治せる状況ではなかったために、安子はるいを雉間の家に置き、自分が家を出る時も、るいを雉間の家に残す選択をしたわけです。
しかし、るいは自分の意思で額の傷を治さないまま成長しました。
ただ、自分の意思で残した額の傷が、結果としてコンプレックスとなってしまい、るいを苦しめることになります。
額を厚めの前髪で隠しているので普段は傷が見えない状態にしていますが、仕事の面接で額を見せるように言われ逃げ出してしまったり、初めてのデート(相手は錠一郎ではない)では、アクシデントで傷が見えてしまい、動揺した表情を見せた相手から逃げてしまったり。
その後、誰から見ても両思い状態になった錠一郎にも、額の傷を気にして自分の気持ちを伝えることができずにいました。
しかし、るいは自ら額の傷を錠一郎に見せることができ、錠一郎も傷を見て動揺することはなく、るいを受け止め、二人は結ばれます。
コンプレックスが消えたわけではなくても覚悟を見せたるい、そして額の傷をそっと隠してあげる、錠一郎の優しさも好印象でしたね。
錠一郎の挫折にも負けない、るいの強さ
るいと正式に恋人関係になった錠一郎は、大阪のジャズコンテストで優勝し、東京でデビューするために上京しました。
るいも上京し、東京で錠一郎と暮らしていく…はずだったのですが。
デビューアルバムの曲を収録しようとしていた錠一郎が、トランペットをうまく吹くことができなくなってしまったのです。
いろいろな病院にかかっても原因がはっきりせず、改善の見込みもないため、デビューの話は中止となってしまいました。
失意の錠一郎がこっそり大阪に戻ったことを知ったるいは、錠一郎をサポートしようと錠一郎の宿泊先を訪ねますが、自分にはトランペットしかないと思っていた錠一郎はるいを拒絶。
何度も拒絶され少し迷いの出ることもあったるいでしたが、人生に絶望し海に入ろうとする(入っている)錠一郎を見つけ、自分が錠一郎を支えると宣言します。
大阪に来た頃は自分のことで精一杯だったるいが、錠一郎を支える…という、相手を思う強さを見せるようになったところに、るいの持っていた強さと成長を感じました。
次の項目からは、るい編で一番印象に残った場面について書いていきます。
るい編で一番印象に残った場面
ジャズのセッション(コンテスト最終決戦)と時代劇の殺陣のコラボ
るい編で一番印象に残っているのは、ジャズコンテストで錠一郎と、錠一郎のライバル関係にあるトランペッター・トミーによる最終決戦のシーンでした。
最終決戦では一つの曲をセッションとして二人で演奏する形だったのですが、同じタイミングで上映されている時代劇の映画「妖術七変化・隠れ里の決闘」の殺陣のシーンが映像が合間に流れていて、ジャズと時代劇の殺陣がコラボするという、なんとも不思議な映像。笑
一つ前の回でるいと「妖術七変化」を観た錠一郎が、主演・桃山剣之介のセリフに強く共感する場面があり、だからこそ登場するコラボなのですが、錠一郎とトミーのトランペットの「決闘」と、妖術七変化の殺陣のシーンが入れ替わり立ち替わり流れます。
ジャズコンテストと同じタイミングで竹村夫婦が妖術七変化を観に行っている設定で、妖術七変化の映像はちょうど竹村夫婦が観ているもの…という設定でしたが、「超がつく駄作だけど殺陣のシーンは素晴らしい」という評判そのものの、二人の率直な反応が合間に映し出されるのも面白かったですね。
るいの娘で3代目ヒロインでもあるひなたのプロフィールに「時代劇好きの父」というワードがあって、どう考えてもひなたの父になるはずの錠一郎と、時代劇がここまで繋がらなかったのですが、この場面で錠一郎と時代劇の繋がりがはっきりしたので、そういうことか!と思いました。
一見、謎で面白いだけの場面に見えるのですが、実はひなた編に繋がる(であろう)重要な場面というのがカムカムらしいし、強く印象に残りました。
舞台は大阪から京都へ
ここまで、カムカムエヴリバディ・るい編の感想について書いてきました。
るい編は、悲しい終わり方だった安子編の直後ということ、安子をアメリカに行かせてしまう決定打になってしまったのがるいだったために、割り切ってるい編を楽しめるようになるまで少し時間がかかったところはありました。
しかし、大阪で出会った竹村夫婦や錠一郎の他にも錠一郎の追っかけをしているベリー(一子)、錠一郎のライバルのトミーといった新たな人物たちの明るさに助けられ、いつの間にか普通に楽しんで観られるようになっていきました。
アメリカに渡ってしまった安子と違い、るいはひなた編になってもそのまま登場するとのことなので、るいがどのようなお母さんぶりを見せてくれるのか楽しみですね。
安子編は岡山が舞台、るい編は大阪が舞台でしたが、錠一郎との結婚を機に移り住んだ京都がひなた編の舞台になります。
ひなたがどんな道を歩んでいくのか、楽しみに観ていきたいと思っています。
また、ひなた編についても感想をアップする予定ですので、気長にお待ちいただければ幸いです。
それでは、今回はこのへんで。