朝ドラ「カムカムエヴリバディ」安子編の感想・穏やかな戦前から波乱続きの戦中戦後

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朝ドラ「カムカムエブリバディ」安子編の感想・穏やかな戦前から波乱続きの戦中戦後

2021年11月から始まったNHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。

ここ数年朝ドラを観る習慣がなくなっていた私ですが、この「カムカムエヴリバディ」は1話から欠かさず観ています。

なぜなら「カムカムエヴリバディ」の脚本を担当されている「藤本有紀」さんは、私の大好きな朝ドラだった「ちりとてちん」の脚本も担当されていた方だから。

カムカムエヴリバディは、安子、安子の娘・るい、るいの娘・ひなたの三世代の3人がリレー式にヒロインとなる、少し変わった設定のドラマとなっています。

エラー - NHK

カムカムエヴリバディの感想を書こう!と決めてはいたものの、さすがに全編通しての感想を一つの記事にするのは無理があるので、ヒロイン3人別に感想を書くことにしました。

今回は、初代ヒロインである安子編の感想となります。

よろしければお付き合いくださいね。

この記事は「カムカムエヴリバディ」安子編を全話視聴しての感想となります。

るい編以降のストーリー展開については触れませんが、安子編におけるネタバレを含む内容となるため、ネタバレを見たくない方は読まないことを強く推奨します。

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カムカムエヴリバディ・安子編の感想

カムカムエヴリバディの初代ヒロインとなったのは上白石萌音さん演じる安子。

普段ドラマをあまり観ない私は、上白石さんの演技をしっかり観るのは初めてでしたが、純粋な少女時代から戦時中・戦後を生きる母親となっても安定した演技で、安心してドラマの世界に入ることができました。

次の項目からは、ストーリーの感想を書いていきます。

幸せな戦前から悲劇の戦時下へ

岡山の商店街にある小さな和菓子屋「たちばな」の娘として産まれた安子

祖父母、両親と兄、菓子職人たちと和やかに暮らしている少女時代からスタートしました。

兄・算太が跡継ぎとして菓子職人の修行を積むも、ダンスの世界に心惹かれてしまい家を出る…というアクシデント的な展開はあるものの、おおむね穏やかな毎日を過ごしていました。

しかし、戦争が始まると状況は少しずつ重いものに。

和菓子の材料不足で和菓子を思うように作ることができなくなったうえに、算太や菓子職人が次々と出征。

さらに祖父は戦時中に病死、祖母と母は空襲の犠牲で亡くなり、たちばなの店も空襲の被害でがれきとなってしまいました。

ストーリーの時間の進み方が早いこともあり、和やかだった日々があっという間に遠い過去になっていった印象です。

あらためて毎日の当たり前が無くなってしまう戦争の怖さ、悲惨さを感じましたね。

稔さんとの純真な恋愛模様、そして別れ

安子の幼馴染である勇の兄・雉間稔は大阪で下宿している学生。

稔が岡山に帰省した際、大阪で手土産を買い忘れたために立ち寄ったのが、和菓子屋である「たちばな」でした。

店番をしていた安子とこの時に知り合うのですが、安子は稔の存在をきっかけにラジオ英語講座で英語を学ぶように。

大阪が拠点となっている稔と一緒に過ごす時間はほとんどありませんでしたが、手紙のやり取りを通じて仲を深めていきます。

お互いが恋愛感情を持つようになり、結婚を意識するようになる二人。

しかし、稔は実家の「雉間繊維」の跡継ぎで、安子も跡継ぎを任されるはずだった兄が家を出たために「たちばな」の跡を継ぐことを期待されている立場。

二人の結婚は難しい状況かと思われましたが、稔が学徒動員で出征することが決まったことにより安子との結婚が認められ、晴れて安子は稔と夫婦になることができました。

安子、稔それぞれ純粋に相手を想う姿、そして短い期間でしたが夫婦となって初々しい姿も純真そのもので、観ていて微笑ましかったです。

稔が出征した後、安子のお腹には赤ちゃんがいることが発覚。

戦時中に娘・るい(2代目ヒロイン)を出産、育てながら戦火を生き延びた安子でしたが、戦後に待ち受けていたのは稔の戦死の報せ。

稔が戦場で過ごす描写がなければ、戦死した時の描写もなく、ただ手紙(電報?)が届くだけ…という実感のなさが、戦時中のリアルさを感じるとともに悲しい気持ちになりました。

大阪での独立はまさに朝ドラ!…と思ったけれど

雉間の家は空襲の被害を免れ、出征していた稔の弟・勇は無事家に戻ってきましたが、稔を亡くしたことにより安子の立場は徐々に難しいものになっていきます。

安子の祖父母と母親は戦時中に亡くなり、出征した兄は消息不明のまま、さらに終戦まで生き延びた父も戦後まもなくして亡くなってしまったため、身内に頼れる人間が一人もいない状況。

さらに稔の父・千吉から安子の娘・るいを家に置いて再婚することを求められ、るいから離れることなど考えられない安子は、雉間の家で居場所がなくなってしまいました。

悩んだ安子は、勇の勧めで大阪にるいと逃亡し、稔が暮らした下宿先で二人で暮らすことを決断。

お菓子を作って売ることにした安子は、戦後の混乱期ということで最初は思うように商売ができない状況でしたが、徐々に軌道に乗り始め、なんとか生活はできるように。

貧しいながらも母娘で楽しく生活する姿に朝ドラらしい展開でワクワクしてきた!…なんて思っていました。

しかし、楽しい時間は長く続かず。

安子の居場所を突き止めて大阪の住まいを訪れた、稔の父・千吉に生活の不安定さを指摘され、焦った安子は移動中に接触事故を起こし、自身は腕を骨折、るいの額には消えない傷を作ってしまいます。

気力だけではどうしようもない状況に追い込まれた安子は、再び岡山に戻ることになりました。

報われない環境も、英語とロバートの存在が救いに

岡山に戻った安子は、雉間の家でおとなしく過ごす…ことはありませんでした。

るいの額の傷の治療費を自分で捻出するために、和菓子を作り売り続けることに。

和菓子を売る際に偶然知り合った進駐軍のロバートとの交流を通して、稔と仲を深めるきっかけとなった英語への思いをあらためて強く持つようになります。

大阪時代から「カムカム英語」をるいと二人で楽しく聴くことで、しんどい毎日を乗り越えていましたし、安子にとっての英語は、稔との絆であり、るいとの絆でもあるのですよね。

そして、ロバートは戦争を機に妻を亡くす…という、安子と同じく戦争で大切な人を失った(ロバートの妻は戦死ではありませんが)人物です。

ロバートは、安子と悲しみを共有することができただけでなく、さらに英語の世界に深く関わるきっかけをくれる人物となります。

英語の存在、そしてロバートの存在は、戦争でさまざまなものを失った安子の心の支えになっていきました。

るいとの悲しすぎる別れ…

安子にとって、るいは愛する稔との子供であり、生きがいといえる存在でした。

その気持ちはるいが大きくなっても全く揺らぐものではありませんでしたが、安子編・終盤で安子とるいの距離が開いてしまうことに。

安子の幼なじみであり、稔の弟である勇に求婚されたのを機に、実家の和菓子屋たちばなの再興のため家を出ることを決意。

ただ、稔(勇)の父・千吉にるいは雉間の家に残すように言われ、安子は悩みながらもるいと離れて暮らすことを決断します。
るいの額の傷の治療費は、雉間の家の資金力がないとどうしようもない金額だったからです。

るいから見ると、ずっと一緒にいた母親が、理由もよくわからないまま雉間の家を出て離れて暮らす…という理不尽な状況に置かれてしまうわけですね。

さらに不幸は重なり、安子と共にたちばな再建に向けて動いていたはずの、安子の兄・算太(出征していたが戦後数年経過して帰還)が再建分の資金を持ったまま失踪。

算太が大阪行きの電車に乗ったとの情報を得て、安子はロバートとともに大阪で算太を探すことになりますが、るいの小学校入学式を間近に控えたタイミングで倒れてしまいます。

入学式当日に安子が岡山に戻ってこないことを心配したるいは、一人で大阪に向かい安子を探しに。

しかし、安子を見つけたるいが見たものは、ロバートに告白され抱きしめられる安子の姿。

大きなショックを受け岡山に戻ってきたるいは、母を完全に拒絶。

岡山に戻った安子に、額の傷を見せながら「I hate you」と言い放ち、安子の心は完全に壊れてしまいました。

算太が失踪してしまう心境になったのには事情があり、るいが見てしまったロバートの告白の場面でも、実はその後で安子は断っていて、決して色恋沙汰に浮かれていたわけではなかったのですが…。

岡山での居場所を失い、るいという生きがいである存在から否定された安子は、ロバートを頼りアメリカに移住。

安子編は悲しい展開のまま幕を閉じることになったのです。

個人的に印象に残った場面

個人的に印象に強く残ったシーンはいくつかあるのですが、安子編で一番印象に残ったシーンを語らせてください。

安子の父・金太の最後の場面

一番印象に強く残った場面は、安子の父・金太の最後の場面です。

金太は、岡山での空襲時に自分の指示で避難させた妻(安子の母)小しず、母(同・祖母)ひさを防空壕の空襲被害により亡くしてしまったことで責任を強く感じ、ひどく落ち込み弱ってしまいます。

ただ、金太を励まそうと安子が作ったおはぎを食べたことを機に「たちばな」の再興を目指し、安子と和菓子作りを再開。

小さな和菓子屋としてたちばなを再スタートした際、通りすがりの貧しい少年がおはぎを盗もうとします。

しかし、金太は少年に怒ることはせずに大量のおはぎを持たせ、「このおはぎで商売してこい」と、少年がおはぎと売上金を持ち逃げするのを承知で送り出します。

その夜。
少年がたちばなに戻ってきた声に気づいた金太。

しかし、たちばなに入ってきたのは、出征していた安子の兄・算太でした。

算太は、たちばなの跡継ぎとして和菓子職人修行を積むもののダンサーへの憧れから家出、その後さらに多額の借金を抱えていたことが発覚したりと親不孝を重ね、金太から勘当されている身。

しかし、算太の出征時すら見送りをしなかった金太は悔いが残っていたのか、自分の思いを算太に語りかけます。

そして、語りながら目に浮かぶのは戦前のたちばなの人間が食卓を囲んで談笑する姿…

ずっと仲違いしていた金太と算太の雪解け、そして戦前のたちばなの皆の笑顔。微笑ましい場面でした。

しかし、ここで「金太が亡くなっていることが発見された」というナレーションが流れます。

初めて観た時はナレーションの意味がわからなくて、頭が?でいっぱいになりましたね。

次の回で、実際にはたちばなを訪れていた例の少年が、安子に最期の金太の状況を説明するのですが、算太がたちばなに戻ってきたのは、金太が最期に見た幻だった…ということが明らかになります。

一時期弱っていたとはいえ、体調不良のそぶりを全く見せていなかった金太。

たちばなを再び再興させると信じて疑っていなかっただけに、突然の退場はとっても驚きました。

ただ、最期にたちばなの皆で楽しく過ごしているところを振り返りながら旅立っていったのは、きっと良かったこと。

急激な展開に驚きながらもなぜか心が暖かくなる、素晴らしい場面でしたね。

るい編の展開も目が離せない

この記事を書いている現在は、安子の娘であり二代目ヒロインとなる、るい編の終盤…といった状況です。

るいに拒絶された安子は、るいと和解することのないままロバートを頼りアメリカに移住する…という悲しい展開のまま幕を閉じましたが、るい編ではあまり悲しい展開が多くないといいな…と思いながら観ています。

「ちりとてちん」では、前半しんどい展開が続いても、後半で報われたり、随所にあった仕掛けの種明かしに驚くことが多かったので、きっとカムカムも観続けていれば何かあるんじゃないかな…って勝手に期待していたり。笑

るい、そしてその娘(安子の孫にあたる)ひなたについても、ざっくりと設定が出ているのですが、どういう流れでその設定にたどり着くのか楽しみですね。

そして、誤解が重なって決別してしまった安子とるいにも、何か救いのある展開があることを願いたい!
このままでは、安子があまりに可哀想なので…涙

るい編、ひなた編それぞれの感想もストーリーの状況に応じて書きたいと思います。

それでは、今回はこのへんで。

※るい編の感想記事をアップしました↓

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